白川紺子『後宮の烏3』機微に触れる感情に酔いしれる
- 作者: 白川紺子,香魚子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2019/08/21
- メディア: 文庫
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シリーズ第3作目。
巻を追うごとに世界の歴史が少しずつ明かされる。
今回は新しい登場人物と、新たな敵も現れ、これまでの2作ほどではないにせよ、物語が動く。
徐々に不穏な空気が、主人公の寿雪のまわりで起き、そして、まわりの助けに、手を伸ばしたくなる。それがいけないと言われていたにも関わらず。
ついに巻頭には世界の地図が掲載され、寿雪の住む夜明宮のある都だけでなく、様々なエリアが登場する。それぞれの土地で伝承があり、寿雪たちにも影響を及ぼす。
これからの展開が本当に楽しみだ。
後宮の烏がすごいのは、各話で事件を解決しつつ、寿雪とまわりの人たちが徐々に関係を深めていくため、読み逃せない盛りだくさんな内容になっていることだ。
さらに今回は主要人物たちの過去がわかり、運命的に寿雪と関わっていることが示唆される。
関係性が示されると「ここまでつながるかー」とひっくり返る。
この作者は本当にすごい。
人の心をよく読み取り、おそらく分かりすぎるくらいに、人の仕草や言葉でその裏まで読み取れてしまうのであろう。
読んでいると、それが伝わる。
こんなにも心が触れる書き方ができる人も珍しいと思う。
早く、次出てほしい。
価格:658円 |