irodori_book’s diary

本を読む幸せとは作者の描く登場人物の考えが自分の考えにシンクロして陶酔するような感覚が稀にあること。一人でも多くの人に特別な一冊が見つかればいいと思うので、大切な本の紹介を続けます。

辻村深月『水底フェスタ』黒辻村を堪能できる

水底フェスタ (文春文庫)

水底フェスタ (文春文庫)

辻村作品はよく黒辻村と白辻村とに分けられることがある。
おそらく感動できてとてもきれいな物語とドロドロの関係性を描いた物語とで分かれることは想像できるが、それであればこの『水底フェスタ』は完全なる真っ黒辻村である。

過疎地で育った少年が、あるとき村に復習するために返ってきたと言う少女と出会う。
フェスを行うことをウリとしてしている田舎町で、少年は少女の魅惑に虜となっていく。

今後も辻村作品では都会と田舎の対比や、女性の性などテーマをもった作品が多くなる先駆けとなった作品に感じる。

辻村ファンとしてはまさかの性描写など驚くようなこともあるけれど、やはり読ませてしまう力がある。

この閉塞感を感じてほしい。

水底フェスタ (文春文庫) [ 辻村 深月 ]

価格:756円
(2019/10/1 22:04時点)
感想(3件)