irodori_book’s diary

本を読む幸せとは作者の描く登場人物の考えが自分の考えにシンクロして陶酔するような感覚が稀にあること。一人でも多くの人に特別な一冊が見つかればいいと思うので、大切な本の紹介を続けます。

辻村深月『東京會舘とわたし 下巻』東京會舘へ行きたい

辻村深月は物事に意味を見いだすことに長けた作家だと思っている。

今作、『東京會舘とわたし』では戦前から脈々と続く會舘の歴史と関わる人々が鮮やかに描かれているのだが、過去に登場した人物があちらこちらに姿を見せる。そして、当時の発言や行動がどのような真意であったのかを明らかにしていく様子が本当にニクい。

物事には意味があり、それがストンと腹落ちしたとき(謎が解けたとき)人は驚きと共に感動をおぼえる。今作は會舘の歴史の積み重ねと登場人物たちの小さなミステリーからできていて、必ずや東京會舘へ訪れたくなる最高の一冊だ。

東京會舘とわたし 下 新館 (文春文庫) [ 辻村 深月 ]

価格:803円
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