irodori_book’s diary

本を読む幸せとは作者の描く登場人物の考えが自分の考えにシンクロして陶酔するような感覚が稀にあること。一人でも多くの人に特別な一冊が見つかればいいと思うので、大切な本の紹介を続けます。

森絵都『みかづき』教育と家族の壮大な物語

みかづき (集英社文庫)

みかづき (集英社文庫)

中央公論文芸賞、王様のブランチブックアワード2017の大賞の一冊。

長年コンスタントに作品を発表する森絵都さんの今では代表作となった。

これは塾の変遷と、ある家族の物語。

主人公の大島吾郎とその家族は、塾の設立から教育についてそれぞれが思いを巡らし、様々な形をとっていく。
一筋縄ではいかない教育に、塾からはじまり、
時代に合わせた教育で立ち向かう家族は壮大な物語にどのように終わらすのか全く予想もできず突き進む。

塾が日本でどのような役割を果たして、変遷を辿ってきたのか、しっかりと取材して描かれただけあってとても興味深い。当時こどもだった人たちにとっては自分たちの生きてきたなかで塾業界は何が起きていたのか照らし合わせることもできる。

読者は魅力的な登場人物と共に、時代に翻弄される様を経験できる。
ぜひ、日本の教育業界で何が起きていたのか知ってほしい。

みかづき (集英社文庫(日本)) [ 森 絵都 ]

価格:950円
(2019/8/19 21:13時点)
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