irodori_book’s diary

本を読む幸せとは作者の描く登場人物の考えが自分の考えにシンクロして陶酔するような感覚が稀にあること。一人でも多くの人に特別な一冊が見つかればいいと思うので、大切な本の紹介を続けます。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

伊坂幸太郎『アイネクライネナハトジーク』つながる想いと越える時代

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/08/04メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見るなんて爽やかなんだ!伊坂幸太郎さんの作品のなかでもダントツでつながる物語が楽しくて、どんどん読…

住野よる『君の膵臓を食べたい』気を抜けない作者デビュー作

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)作者: 住野よる出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2017/04/27メディア: 文庫この商品を含むブログ (23件) を見る 住野よるさんのデビュー作。 もともと小説投稿サイトに載せて話題となりデビューという流れで、とても現代的だ。…

米澤穂信『満願』磨かれ続けた文体に酔いしれる

満願 (新潮文庫)作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/07/28メディア: 文庫この商品を含むブログ (12件) を見る数々の作品をコンスタントに発表し続ける米澤穂信さんの短編集。6つの話はどれも人間の性(さが)や業を浮き彫りにし、それが読みた…

今村昌弘『屍人荘の殺人』まさかのトリックに度肝を抜かれろ

屍人荘の殺人作者: 今村昌弘出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/10/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (25件) を見る鮎川哲也賞を受賞したミステリー小説。 発売当時から話題性があり、そのトリックのネタバレ禁止でさらに盛り上がった。大学の…

住野よる『また、同じ夢を見ていた』あの人たちは誰だったのか?

また、同じ夢を見ていた (双葉文庫)作者: 住野よる出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2018/07/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る『君の膵臓を食べたい』で好評価(実際にデビュー作であって普遍的な恋で面白かった)の住野よるさんの2作目。今…

住野よる『よるのばけもの』もうちょい!!なスクールカースト物語

住野よるさんのデビュー作は「君の膵臓を食べたい」というセンセーショナルなタイトルで脚光を浴び、映画化、漫画化、アニメ映画化と大躍進している。それから数作目の本作は、いじめがテーマ。夜になるとかいぶつになれる少年と、いじめられている少女の掛け…

中村航『年下のセンセイ』誰もが普遍的な恋に憧れる

年下のセンセイ (幻冬舎文庫)作者: 中村航出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2018/04/10メディア: 文庫この商品を含むブログを見る年齢差のある恋はいつの時代も普遍的だ。 『100回泣くこと』の中村航さんは恋愛を軽やかに描くことがとても上手だ。そして、中…

阿部智里『玉依姫』どれだけ予想を裏切る面白さか

玉依姫 八咫烏シリーズ5 (文春文庫)作者: 阿部智里出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2018/05/10メディア: 文庫この商品を含むブログを見るエピソード0にして八咫烏シリーズ5作目。毎作角度を変えながら山内が描かれ、今回も予想を上回る舞台からスタートし…

志駕晃『スマホを落としただけなのに』犯人は誰だ!?スリラーミステリー

スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)作者: 志駕晃出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2017/04/06メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見るこのミス大賞の受賞作。本屋さんでは平積みとなり、映画化も相まって高い注目度…

こだま『夫のちんぽが入らない』後悔とやるせなさと普通であるとは?

夫のちんぽが入らない (講談社文庫)作者: こだま出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/09/14メディア: 文庫この商品を含むブログを見るこれだけのタイトルインパクトがある本も珍しいし、よく出版できたものだ。旦那とはできず、仕事もままならない女性の生…

阿部智里『空棺の烏』またしても最高の展開にワクワクする

空棺の烏 八咫烏シリーズ 4 (文春文庫)作者: 阿部智里出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/06/08メディア: 文庫この商品を含むブログを見る八咫烏シリーズ4作目。宮廷ものから始まった物語かと思いきや、2作目から毎回趣向を変えて、それでいて毎作最高に…

川村元気『億男』ある男のお金をめぐるロードムービー

億男 (文春文庫)作者: 川村元気出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2018/03/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る突如として手にした3億円。 どのように扱えば良いか分からず、ネットビジネスで成功して巨万の富を得た友人に聞きに行くが、友人…

森絵都『みかづき』教育と家族の壮大な物語

みかづき (集英社文庫)作者: 森絵都出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/11/20メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る中央公論文芸賞、王様のブランチブックアワード2017の大賞の一冊。長年コンスタントに作品を発表する森絵都さんの今では代表作…

白川紺子『後宮の烏2』成長過程のファンタジー

後宮の烏 2 (集英社オレンジ文庫)作者: 白川紺子,香魚子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/12/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る突然舞い降りた日本のファンタジー小説。 前作を読んで、この作品の虜になった方も多いはず。 もし、これ…

白川紺子『後宮の烏』ジャパンファンタジー万歳

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)作者: 白川紺子,香魚子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/04/20メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る集英社オレンジ文庫から発売された中華系ファンタジー。 この作品から作者の存在知った人もいたのではないだ…

阿部智里『黄金の烏』物語は始まった

黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)作者: 阿部智里出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/06/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見るシリーズ3作目で、ついに物語が動き出した。 金烏とは、世界とは、徐々に明らかになり、まだ残された謎は…

阿部智里『烏は主を選ばない』二つで一つ

烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)作者: 阿部智里出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/06/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (10件) を見るこれ、20歳の方が書いたの?スゴすぎるでしょ、でお馴染み八咫烏シリーズ。前作がA面で今作がB面…

阿部智里『烏に単は似合わない』宮廷ファンタジーと思いきや…

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)作者: 阿部智里出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/06/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (13件) を見る作者が史上最年少で松本清張賞を受賞した作品。舞台は異世界の宮廷。 王(現時点ではまだそう…

宮部みゆき『希望荘』人の悪意とやるせなさに打ちのめされたい

希望荘 (文春文庫)作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2018/11/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る宮部みゆきさんのドラマ化もされた杉村シリーズの第4作目。『誰か』『名もなき毒』『ぺテロの葬列』とこれまでの3作は大いな…

塩田武士『罪の声』始まりからセンスを感じる

罪の声 (講談社文庫)作者: 塩田武士出版社/メーカー: 講談社発売日: 2019/05/15メディア: 文庫この商品を含むブログを見る山田風太郎賞の受賞作。グリコ森永事件を題材に書かれたフィクションだが、想像を越える面白さだった。主人公がふとしたきっかけで、…

川村元気『四月になれば彼女は』昔の恋を思い出してほしい

四月になれば彼女は作者: 川村元気出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/11/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る『天気の子』『君の名は』の新海誠監督の映画をプロデュースする川村元気さんの書きおろし小説。川村元気さんの作品はどれ…

道尾秀介『透明カメレオン』最後まで読んでほしい

透明カメレオン (角川文庫)作者: 道尾秀介出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2018/01/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る直木賞作家の道尾秀介さん。 コンスタントに作品を発表し、文庫化も定期的にされていて、いわゆるヒットメーカーだと…