irodori_book’s diary

本を読む幸せとは作者の描く登場人物の考えが自分の考えにシンクロして陶酔するような感覚が稀にあること。一人でも多くの人に特別な一冊が見つかればいいと思うので、大切な本の紹介を続けます。

塩田武士『罪の声』始まりからセンスを感じる

罪の声 (講談社文庫)

罪の声 (講談社文庫)

山田風太郎賞の受賞作。

グリコ森永事件を題材に書かれたフィクションだが、想像を越える面白さだった。

主人公がふとしたきっかけで、昭和最大の事件に自身が関係していることを知り、当時何があったのかを追い求めていく。

物語の始まりが事件とは縁遠いはずの一般人が、過去の未解決事件に関わっていく様は秀逸。

この物語はこの始まりだからこそ、こんなにも面白いのでは?とさえ思った。

事件を追うごとに判明する過去の出来事、そして全てがつながる怒濤のラストに気持ちを持っていかれる。

ご都合主義過ぎるとも言われそうだが、読み終わった感想としては、すごい傑作だった、、である。