irodori_book’s diary

本を読む幸せとは作者の描く登場人物の考えが自分の考えにシンクロして陶酔するような感覚が稀にあること。一人でも多くの人に特別な一冊が見つかればいいと思うので、大切な本の紹介を続けます。

小野不由美『十二国記  東の海神 西の滄海』延国最大のピンチに王の采配が冴え渡る!

東の海神(わだつみ)  西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫)

東の海神(わだつみ) 西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫)

十二国記的には3作目で、慶国、泰国、そして、今回は延国へと舞台が移ってきた。

陽子を助けた延国の王と麒麟の物語で、二人の出会いと、国の最大の事件に立ち向かう様が描かれる。物語は麒麟の延麒のもとれ昔の友人が現れ、会いに行き、そこから国を揺るがす事件に巻き込まれていくことになる。
王は、麒麟は、国を守ることができるのか?

延麒と、王である尚隆の絆はもちろんのこと、脇を固める各役職の王の部下が格好いい。
尚隆は一見事態を軽々しく扱って、的はずれな指示をだすが、実はそれは様々な布石を打っており、自分自身も解決に動き出す。飄々とした態度に部下はキリキリとするが、徐々に真意を理解し、一丸となる中盤から終盤は鳥肌が立つ。

延麒も、捕虜になりつつ自分の使命と王を選んだことに悩み続ける。もしかしたら、尚隆を選んだことは誤りではないが、このままで良いのか…。

地方から志から王への謀反を起こそうとする斡由
も、自身の欲望が徐々に明らかになることで、物語が加速する。

幸せを願う二人の少年の思いは…

ファンタジー好きな人にはぜひ読んでもらいたい十二国記の中でも屈指の名作である。


東の海神西の滄海 十二国記 (新潮文庫) [ 小野不由美 ]

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