irodori_book’s diary

本を読む幸せとは作者の描く登場人物の考えが自分の考えにシンクロして陶酔するような感覚が稀にあること。一人でも多くの人に特別な一冊が見つかればいいと思うので、大切な本の紹介を続けます。

中村航『あのとき始まったことのすべて』それでもみんな愛していた

思い出すとチリチリと痛む昔の恋。大人になって再開した同級生だった男女と、学生時代の思い出が交差して物語が進む。

学生時代仲の良かった4人が社会に出て再開するといった、これまた普遍性のある王道物語なのだが、なぜこんなにも胸をつくのだろうか。
一つひとつのエピソードが甘く、そしてラストに効いてくる。

大人になりきれないって誰にでもあって、それをどこか肯定してくれる温かさのある登場人物たちに癒される。

大人になってどう生きているのか、ちょっと彼らの出来事を覗かせてもらうような読み心地で、とても心地よい。

優しくて、時に切ないのは中村航作品の特徴で、魅力でもある。

気持ちにささくれができた時に読みたい。

あのとき始まったことのすべて (角川文庫) [ 中村航 ]

価格:648円
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感想(2件)