irodori_book’s diary

本を読む幸せとは作者の描く登場人物の考えが自分の考えにシンクロして陶酔するような感覚が稀にあること。一人でも多くの人に特別な一冊が見つかればいいと思うので、大切な本の紹介を続けます。

角田光代『八日目の蝉』心に残る角田光代さんの傑作がここに

八日目の蝉 (中公文庫)

八日目の蝉 (中公文庫)

映画化もされた角田光代さんの傑作長編小説。
愛人の子供を誘拐し、自分の子として育てる女性の逃避行と、その後が描かれる。

作家は経験したことのないことも想像し、文字としていくわけだが、本当に経験せずにここまでのことが書けるとは、これはもう才能以外のなにものでもない。もちろん努力もあるだろうが。

何かの書評で角田光代さんは人の人生にとても興味があるとの記載があったことを思い出す。
心理描写は、多くの取材と興味を持って人の人生を丁寧に聞いたり読んだりすることで培われたものだろう。

八日目の蝉は善悪を通り越して本当の親子ではないなかでの苦悩と、そして、その壮絶な先に迎える結末に、しばらく呆けてしまう、そんな体験ができるとてもすごい本だ。

八日目の蝉 (中公文庫) [ 角田光代 ]

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感想(267件)