irodori_book’s diary

本を読む幸せとは作者の描く登場人物の考えが自分の考えにシンクロして陶酔するような感覚が稀にあること。一人でも多くの人に特別な一冊が見つかればいいと思うので、大切な本の紹介を続けます。

川村元気『世界から猫が消えたなら』大切なものはなくなって初めて気づく

川村元気原作の小説で、映画化もされて有名な作品。川村元気といえば、映画プロデュースのヒットメーカーだ。小説も当然のように面白い。
毎作、何かテーマがあって、登場人物たちは悲しみとおかしさと、気付きを得て進んでいく。

今作では、ある日、僕は脳腫瘍の診断を受け、余命宣告されるところから物語が始まる。

その夜、悪魔が現れ、もし死にたくなかったら、大切なものを一つずつ消していくと言う。

僕は徐々に消える大切なものを前に、過去の自分と向き合っていく。

家族、恋人、そして猫。
僕の行き着く先にあるものを読者は一緒に見つけることになり、どこか旅をしてきたような感慨もある。

普遍的な、大切なものはなくして初めて気づくというテーマで、締め付けられる素敵な物語に浸ってほしい。

世界から猫が消えたなら (小学館文庫) [ 川村元気 ]

価格:682円
(2019/10/3 21:49時点)
感想(36件)